近年、働き方の多様化が進む中で、「ワーケーション」という新しいスタイルが注目を集めています。
ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、普段とは異なる環境で仕事を行いながら、その場所で休暇も楽しむ働き方です。
単なるテレワークとは異なり、「休暇」の要素を組み込むことで、働く人の心身をリフレッシュさせながら生産性や創造性の向上を狙える点が大きな特徴です。企業や自治体も制度や環境整備を進め、導入事例が増えています。
本記事では、企業の人事担当者とフリーランスそれぞれの視点から、ワーケーションの効果や準備方法、成功のポイントを詳しく解説します。
また、実際にワーケーションの体験談も紹介しているのでぜひチェックしてみてください。
ワーケーションとはどんな働き方か?

ワーケーションは、観光地・リゾート地・地方都市・海外など、非日常の環境で仕事をしながら休暇を楽しむ働き方です。
インターネットやモバイル通信技術の発達により、オフィス以外の場所からでも業務が可能になったことが背景にあります。
例えば、午前中は宿泊先やコワーキングスペースでリモート会議や資料作成を行い、午後はその土地の観光やアクティビティを楽しむというスタイルです。
長期滞在を伴う場合もあれば、数日間だけの短期実施もあります。
テレワークとの違いは?
テレワークとワーケーションの違いは以下の通りです。
テレワーク | ワーケーション | |
主な場所 | 自宅・カフェ・コワーキングなど | 観光地・リゾート地・地方都市など |
目的 | 業務効率化・柔軟な働き方 | 仕事と休暇の両立・リフレッシュ |
休暇要素 | なし | 含まれる |
滞在期間 | 日単位 | 数日〜数週間 |
テレワークはあくまで勤務場所の柔軟化を目的としますが、ワーケーションは「休暇」の要素が組み込まれ、心身のリフレッシュや地域との交流も目的とします。
ワーケーションの形態
企業主導型(制度導入)
企業が制度として社員にワーケーションを認め、交通費や宿泊費の一部を補助するケース。社内規定や利用条件が整備されている。
個人実施型(フリーランスや個人事業主)
個人が自由に場所を選び、仕事と休暇を両立させるケース。スケジュールや費用は自己管理。
地域・自治体連携型
地方自治体が企業やフリーランス向けにワーケーションプランを提供し、宿泊やコワーキング利用、地域交流イベントをセットにした形。
ふるさと納税でワーケーション?
ふるさと納税を活用してワーケーションを行うこともできます。
ざっくり言うと「寄附+返礼品の形で宿泊や体験サービスを受ける」ことができ、最近は自治体側も誘客目的でワーケーション対応の返礼品を用意していて、宿泊券やコワーキング利用券、観光・アクティビティ体験などがセットになっていることも多いのでぜひチェックしてみてください!
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静岡県伊東市【ふるさと納税】温泉を楽しみながらワーケーション 伊東小涌園 3泊4日 1名宿泊券(食事なし)
岩手県花巻市【ふるさと納税】ワーケーション利用ができる宿泊券!1ヵ月コース(28泊29日)花巻温泉 ビジネス応援プラン
長崎県【ふるさと納税】【アレックス・カー監修】古民家ステイ 日月庵(NICHIGETSUAN)1泊2日ペア宿泊券(素泊まり)
福島県福島市【ふるさと納税】1名1室2泊4食付き 高湯温泉でワーケーション!テレワーカー応援プラン
なぜ今ワーケーションが注目されているのか?
近年、ワーケーションが注目を集めている背景には、働き方・価値観・技術環境の変化が大きく影響しています。
まず、働き方改革やリモートワークの普及により「働く場所の自由度」が高まったことが大きな要因です。
新型コロナウイルスの影響でテレワークが一般化し、企業も従来の出社中心から柔軟な勤務形態へとシフトしていきました。その結果、業務を行いながら旅先や自然豊かな地域で過ごすという新しいライフスタイルが現実的な選択肢となりました。
また、企業側にもメリットがあります。
ワーケーションは社員のリフレッシュや創造性向上、モチベーション維持に寄与するとされ、離職率低下や人材定着にも効果が期待できます。地方自治体や観光地にとっても、滞在期間の長いワーケーション利用者は経済効果が高く、観光と地域活性化を両立する施策として注目されています。
1.働く環境の変化
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが急速に普及しました。
オンライン会議システムやクラウドサービスの活用が進み、オフィス以外の場所でも業務を遂行できることが実証されました。
これにより、働く場所に対する制約が大幅に緩和されています。
2.労働者の意識変化
長時間の通勤や画一的なオフィス環境に対する疲労感が蓄積している労働者が増加しています。
自然環境の中での業務や、リフレッシュできる環境での働き方に対するニーズが高まっており、仕事の質と生活の質の両立を求める声が強くなっています。
3.地域経済の活性化策
観光業界がコロナ禍で深刻な影響を受ける中、地方自治体や観光事業者は新たな収益源としてワーケーション市場に注目しています。
宿泊施設にワーキングスペースを整備するなど、働く人々を受け入れる環境づくりが進められています。
4.人材確保戦略の変化
企業においても、多様な働き方を提供することが優秀な人材の獲得と定着につながるという認識が広がっています。特に若年層を中心とした価値観の多様化に対応するため、柔軟な勤務制度の導入が進んでいます。
こうした社会的背景と技術的基盤の成熟が重なり、「仕事と休暇の融合」という新しい働き方が広く支持されるようになっています。
実際の体験談
ここからは、実際にワーケーションを行なったことのある人たちの体験談を紹介していきます。
これからワーケーションを行う人へのアドバイスもいただいているので、ぜひ企画する際は参考にしてみてください!
体験談①:フリーランスのチームで1泊2日のワーケーション実施!

ワーケーション内容
【体験者】26歳・男性
【場所】静岡県熱海市
【宿泊数】1泊2日
【誰と】仕事仲間(フリーランス)

正直、想定よりも作業は進まなかったが、チームビルディングという意味ではかなり有効だったと思います。
何気ない移動時間中の会話やフリータイム中の雑談の中でも仕事について、これからの私たちについて前向きなトークができたと感じました。
これからワーケーションしようとしている人へのアドバイスとしては、
今回私たちはざっくりとした予定しかたてずに行きましたが、「仕事時間」をしっかりとスケジューリングすることで、作業効率も上げることができると思います。
とのことでした。やはり、作業する時間とアイデアを出し合うような時間をあらかじめ計画で決めておくことが重要だといえますね。
体験談②:業務委託元の会社に誘われ参加し、より連携しやすくなった!

ワーケーション内容
【体験者】26歳・男性
【場所】静岡県浜松市コテージ
【宿泊数】1泊2日
【誰と】業務委託元の会社(チーム)

委託元のチームに誘われて参加しました。
ワーケションを通じて、より委託元との連携を深めたい目的で参加を決めました。
充分にリラックスしつつ、委託元の目標などを深い部分で理解できました。
ただし思ったよりも作業ができなかったので、コテージの滞在時間をもう少し長く確保したいと感じました。
これからワーケーションしようとしている人へのアドバイスとしては、
事前に何をしたいか明確に決め、余裕をもったスケジューリングが大切だと思いました。
とのことでした。スケジュールを詰め過ぎてしまうと思った通りに計画が進まなくなってしまうことも多いので、優先順位を決めて、余裕のあるスケシュールを組むといいでしょう。
ワーケーション導入のメリット
企業側のメリット
- 生産性と創造性の向上
新しい環境が刺激となり、業務への集中力や新たな発想を引き出します。 - 従業員満足度の向上
働く場所の自由度はロイヤルティ向上につながり、定着率を改善します。 - 有給休暇取得促進
長期休暇を取得しやすくなり、業務と休暇の両立が可能になります。 - 企業ブランド向上
柔軟な働き方を認める企業としての評価が高まります。 - 地域貢献
社員の滞在が地域経済活性化や交流促進に寄与します。
フリーランス側のメリット
- リフレッシュと集中力アップ
環境を変えることで気分転換になり、作業効率が向上します。 - 仕事と旅行の両立
収入を維持しながら旅行が可能です。 - アイデア創出
新しい場所や人との出会いがインスピレーションを刺激します。 - 人脈拡大
コワーキングやイベントで新たなビジネスチャンスが生まれます。 - ライフスタイル充実
季節や気分に応じて働く場所を変えられます。
法人・企業側とフリーランスそれぞれのメリットを比較してみました。
企業 | フリーランス | |
生産性向上 | 新鮮な環境で集中力・効率が上がる | 環境変化で作業効率が上がる |
創造性アップ | 非日常の刺激で新しい発想が生まれる | 旅先での経験がアイデアの源になる |
リフレッシュ効果 | 休暇と業務の両立で心身が回復 | リラックスしながら仕事ができる |
長期旅行の実現 | 業務を続けながら休暇取得が可能 | 収入を維持しながら旅行が可能 |
採用・定着効果 | 働き方の柔軟性で人材確保に有利 | ― |
ワーケーション導入前に準備すべきこと
ワーケーションの効果を十分に引き出すには、実施前の準備が非常に重要になります。
ここでは企業が実施する場合とフリーランスが実施する場合それぞれについて、事前に準備・確認しておきたいポイントをリストアップします。
企業・法人の場合
企業の人事担当者がワーケーション制度を導入する際には、以下のような項目を事前に確認しておきましょう。
- 社内制度・ガイドラインの整備
- VPNやクラウドツールなどのIT環境強化
- セキュリティ対策と社員教育
- 業務範囲・評価基準の明確化
- 滞在先の環境確認(通信・設備)
- チーム内スケジュール共有と連絡体制整備
社内ルールやガイドラインを確認後、利用条件や申請方法、勤務・休暇の区分、費用負担などを明確化し就業規則へ反映し、VPNやセキュリティソフトの導入、PCやモバイルWi-Fiの貸与などIT環境を整え、情報漏洩防止の社員教育も実施しておきましょう。
業務範囲や成果評価基準、緊急時の連絡体制も事前に設定し、現地の通信環境や作業設備を確認・手配します。
さらに、スケジュール共有や会議時間の調整など、チーム内コミュニケーション計画も整備しておくことが重要になります。
フリーランスの場合
フリーランスが個人でワーケーションを行う際にも、以下のポイントを事前に準備・計画しておくと安心です。
- 通信環境の確保(Wi-Fi・モバイルルーター)
- 必要機材の準備(PC・充電器・予備バッテリー)
- 作業スペースの事前確認(コワーキング・宿泊先)
- スケジュール管理とオンオフの切替ルール
- 予算計画と費用抑制策
- セキュリティ対策(VPN利用・データ管理)
- 健康管理と無理のない日程
例えば「午前中は作業や業務に集中し、午後17時以降は観光・自由時間に充てる」などルールを決めておくと安心です。
また、誘惑の多い観光地ではつい仕事がおろそかになりがちです。出発前に大まかな1日のスケジュールを決めておき、仕事時間と休暇時間のメリハリをつけましょう。
宿泊先にデスクや椅子がない場合、近くのコワーキングスペースや図書館を利用できるか調べておくと安心です。
個人でワーケーションを行う場合は、ノートパソコン、電源アダプタ、モバイルバッテリー、各種充電器など仕事に必要な機器は忘れずに持参はもちろん、現地で集中できる作業スペースを確保しておくようにしましょう。
まとめ
この記事では、ワーケーションについて企業やフリーランスとして実施する場合それぞれを紹介してきました。
ワーケーションは、働きながら旅先でリフレッシュできる魅力的なワークスタイルで、企業にとっては生産性向上や人材確保などの効果が期待でき、フリーランスにとっても仕事とプライベートの両立や新たな刺激が得られるメリットがあります。
ただし、実施する前には、入念な準備と自己管理が重要になってくるので、事前に環境やスケジュールを整えるようにしましょう!
ワーケーションの実施で、今まで気づかなかった自分の可能性やアイデアに出会えるかもしれません。
興味がある方は、ぜひ自分に合った形でワーケーションを取り入れてみるのも良いでしょう。仕事も休暇もあきらめずに両立できるワーケーションを活用して、充実したワークライフを実現してみてください。